撤収からちょうど1週間。
「めくるめく」展、無事に終了いたしました。

お越しいただいたみなさま、
お気にかけていただいたみなさま、
ありがとうございました。
そして、直接だったり
メッセージカードだったりで
感想をたくさんいただきました。
嬉しかったです。

さて、今回の展示はこんな感じでした。
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とてもいいですね!額も自作です!ここが1番の自慢です 笑。

展示前の投稿でもお知らせしていましたが
今回は、写真集を1冊作るというワークショップでしたので
主役は写真集。これまでもだいたい展示ごとに
展示作品とは別にブック(ポートフォリオ)を設置していましたが、
写真集はそれとはまったく違う、というのが今回の印象でした。
もちろんポートフォリオも展示作品とともに
その展示の一連の流れの中でまとめはしますが
写真集の方が、よりストーリー性や流れが求められますね。

ちなみに講座終了時に1冊完成させていましたが、
講座が終わってから修了展までに半年ほどありました。
受講が終わってからもFacebookのグループ内で
深夜まで先生とのやりとりが頻繁に行われていて
ほとんどの人が終了当時の中身よりも
よりよいものに仕上がって行ったのを
目の当たりにできたのは良い経験でした。

良いものを創り上げたいという各人の熱意と
諦めない気持ち、それを引き出し引き上げてくれた
先生の想いが1冊に、展示に、見事に消化されていたと思います。
そのため展示全般の評判も本当に良いものでした。
自分でも在廊中にみんなの作品、自分の作品を
何度も見返しましたが、まとまりがあって
隙がなくて本当にいい展示になったなぁと
感動していました。
また何年後かに同じメンバーで何かできたら、
素敵なことだなぁと思っています。

さて、最後に馬場先生と出展メンバー、林さんとの記念写真、
写真集最後のあとがきも記しておきます。
馬場先生、メンバーのみなさま、ナダールのみなさま
ありがとうございました。

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=ナユグ あとがき=
上橋菜穂子さんの著書「精霊の守り人」を
読んだことのある人なら知っているナユグ。

人の世界と重なり合っているにもかかわらず、
私たち人間には見えない精霊の世界である。

日本には「逢魔が時」という言葉があり、
幽霊や妖怪などに出逢いそうな時間帯(夕暮れ時)をそう呼ぶ。
さしづめ、ナユグと私たちの住む世界が交差する時間帯と言えるだろうか。
物語の中でナユグは見えない人がほとんどだが、見える人も存在する。

私はいわゆる霊感のようなものは持ち合わせていないので、
こちら側とあちら側、どのように遭遇し交わるのか。
そして、その世界はどのように見えるのかは想像することしかできない。

凪いで静まり返った逢魔が時に
現実世界と異界(ナユグ)とを結ぶ大きな扉がギギギと開き、
辺り一面が揺れて建造物や草木花、空も海も交わり重なり合う。

それはまるで、私が作る多重露光写真のようである。
シンプルとは無縁の、これでもかと言うほどに重ね合わせた、
凶々しい非現実。

開いた扉の向こう側、続く階段、震える窓、光と影、懊悩も快楽も、愛憎も、
穢れさえも美しく映る世界。
すっきりと一筋縄ではいかない重ねの世界は、
私の予想をも超えることがある。

今回この写真集をまとめるにあたって、
本来、脈絡のなかった1枚1枚を
言葉のない絵本のようにまとめることを目指した。

いくつも現れる扉を開いては、
踏み出すその世界に迷い、慄き、感嘆し、際(きわ)に立ちすくむ。
混沌とした世界を見上げて
飲み込まれていくような感覚を
頭の中で幾度となく覚えた。

編んでいる時、凪と揺れの狭間で
私は間違いなく「ナユグ」を見ていたのだと思う。