「Kiiro写真講座 1期生・卒業展」、
こちらも無事に終了いたしました。
御苗場と一部会期が重なっていたために
2月に入ってからは両方のまとめに追われて慌ただしい1か月でした。

昨年10月から『新たな世界観を見つけたい方へ』という
タイトルで始まった講座でしたが
世界観というのはとても難しいテーマです。

人の物の見方、イメージは
きっと存在する人の数だけあると思います。

しかし、それを形にして表すことができている人は
多くはないような気がします。

Kiiroさんの講座は「自分が好きなもの」「夢中になれること」の中にこそ
個性があるという考えが根底にありました。

自分のすぐ身近にある、
些細ともいえる世界を突き詰め語ることが
パーソナルでありながら、
パブリックな世界観に繋がっていくのだと。

今回、自己を見つめて心魅かれるものを写した景色は
見る人の心を捉えたでしょうか。

いただいた感想に

「洋館というと外観に目が行ってしまいがちですが
 室内から見る窓がこんなにも美しいとは気がつきませんでした。」

という言葉がありました。

よく「あの人の世界観が好き」という言葉を聞きますが
少しでも共感したり、気づいてもらえる部分があったのであれば
この展示は成功したと言えると思います。
美しく静かで雄弁な窓はきっとこれからも私の世界観を形成するうえで
切っても切れないものとなるでしょう。

そしてじっくりと今の自分の興味あることに向き合う機会、
向き合うことの意味を考える時間を与えてくださった
Kiiro先生、一緒に学んだ同級生に感謝いたします。

以下、展示全景とステートメントになります。
zenkei

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内なる必然

横浜生まれで横浜育ちの私が港にほど近い山手の洋館を訪れるようになったのは、
ここ七年くらいのことである。

大きな窓に柔らかなカーテン、重厚な階段や調度類を目の当たりにし、
どうしてもっと早く来なかったのだろうと思ったことを覚えている。
それをきっかけに山手以外にも洋館を巡るようになった。

特に心をひかれるのは窓である。
それは時にそびえ、時に招き、時に遮断する。

左右対称、魔法陣のような秩序ある造形へと差し込む光。それによって生まれる影。
時間や気候によって変化する濃淡、長短、揺らぎ。

じっと眺めていると聞こえているはずの音も、
見えているはずの色もいつしか消え去り、
モノクロのしんとした世界にただ一人「私」は入り込む。

閉じられたここにいる限り、私は一見不自由でありながら自由だ。
窓を境とした内側で、誰にも邪魔されることなく
あらゆることに自由に想いを馳せることができる。

外に身を置くことだけが自由なのではない。
数多の制限ある解放ではなく、内に見出す無限の自由を私はここに見つけたのだ。

撮影は、そのしんとしたイメージを形にするために
窓と対話ができるような距離や向きを模索し、他者や他物はできるだけ排除した。